ほしいぬ

書いたり、詠んだり。

羽化のはじまる

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蝉の仔のさらに高くへ登り来る細き枝にて羽化のはじまる


七夕や人の望みの喜びよ射的焼きそばかき氷沁む


面談を終えて我が身の裡に居る中学生は未だ泣きをり


熱の子はさむいさむいと抱きつけり湯たんぽのようただ撫でるのみ


サッカーの生地にて作るスカートのシャラシャラ涼しときめくこころ



*蝉の幼虫が道路を這っていたので、木にとまらせました。一生懸命高く高くへ上っていき、ぴたと止まった。

夜にもう一度見にいくと、さらに高い不安定とも思われる細枝で羽化していました。

今朝はもう居なくなっていたので、無事に成虫になったのだろうと、うれしく思いました。


*平塚の七夕まつりを見物に行きました。盛大でした。阿佐ヶ谷のは見たことあるので、仙台の七夕を見ることができれば、七夕制覇!フッフーン!と鼻息あらくしています。


追記:わたしの誤りで、日本三大七夕は、仙台、平塚、安城(愛媛県)だそうです。あと2つ、楽しみです。


マンゴープリン

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つやめいてふるふるしてるのきづかない匙は投げないヒントも無しね


待たせてるばかりの君は時間切れ夏の勢いもう止まらない


夕立に黒きドラムを叩き居り沸き立つ心冷まさず歩く


涼やかに嘘つき村を後にして手鏡うつる我も嘘つき


嫌なこといやと云ふより好きなことさがすのがすきとごまかす嫌い



星空

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星空に放(ほお)って離すいきどおり往路分だけ燃料積みて


恋の歌やっぱり言わなきゃよかったと一人つぶやく赤い顔して


眠る前明日が少しはましになるおまじないなら100は知ってる


玄関の靴の大きさはっとする成長速度に追いつけぬ我


半年の夢の決算つかぬまま色とりどりの短冊ゆれる





空梅雨

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空梅雨に零れた心注ぐから君のグラスをかしてください


振り上げた鋏を下すことはせずアメリカザリガニ我も堪える


清々とあけはなちてはまた閉ざす窓の掃除は終わりを知らず


手を離しそっと押しやる勇気もて子を信じてぞわが時間往く


夏至のくる眩しき光半年の拘り捨てて新たにぞ積む

時と糸

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梅雨入りしたというのに、一足飛びに夏のよう。晴れた日のアジサイもまたよし。今年は色が濃い気がします。

 

6/10は時の記念日。何をするわけでもないけれど、時間について、ネットでのご縁について、このところよく思うので書いてみます。

 

自分の時間の終わり、自分にとって大切な人、関わりのある人の時間の終わり。それらはあらかじめ知らされるわけではない。あなたやあなたの大切な人のいのちの時計は何年何月何日何時何分に止まりますよ、と予告されることはない。

だから止まってしまってから、動揺する。間もなく止まりそうだときいて、胸がつぶれる。うかうかと何も知らずにいた自分を悔やむ。

 

最近、好きな漫画家の方が急逝し、遺作の掲載された雑誌を買いました。発売後探したけれど通常ルートでは買えず、いわゆる中古品を定価よりも高く。それでも買ってよかったです。

昔の作品がめちゃくちゃ好きで、近年のはあまり読んでいなかった。そのくせいつでも読めると思っていました。

でも時計は止まってしまった。新作はもう読めません。未読既読の作品を大切に読みたいと思います。

 

その作品が掲載されている雑誌を購読されている方のブログを、割と最近知り、読んでいたところでもありました。

その方のブログ(ぴょんさんの「ぴょん記」)は、はてこさんのところで知ったのでした。ぴょん記はおもしろいです。なんともいえずよいです。

 

そしてはてこさんを知ったのは、はてなハイクでした。

はてこさんの記事にハイクのことが書かれていて、わたしも同じ気持ちなのでうれしかった。ハイクはあったかくてのんびりしていていいところです。

はてこさんのお父さんとお母さんの記事も、うちの親に当てはまるところがかなりあって苦しいくらいでした。はてこさんの文はうまくて、いろんな発見や考察を冷静かつ情熱を持ち惜しみなく書いてくれるところが素晴らしいしありがたいなとおもいます。

 

ネットで点々と読んでいる書き手の人たちが、見えない糸でつうっと繋がっている。そんな風に思うことがあります。それは言及とかリンクとかそういう機能のおかげでもあるけれど、本質はそうではなくて、何か響きあうものを持っているのだと思います。書いているもののなかに。

そういうものを、あるいはそういうことに遭遇できたということを、ご縁と呼ぶのかな?とも思います。

 

いろんなすぐれた文章を読めることに感謝し、下手な文や歌を細々とですが書けること、そんな場所があること、がありがたいです。

 

その日がいつかはわからないけれど、自分の時計が止まるまで、時やご縁を大切にし、私は読んだり書いたりしたいと思います。

 

 

白のスケッチ-2

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純白かオフホワイトかクリームか生成りとも言う白ならば美(よ)し


白のシャツ何も思わず月曜日心の穴をすーすー晒す


自らの色は白ぞと決めているその移ろいと汚れと共に


胸底を吐きたる夜の寝苦しき今朝は体重減りて白々


君が嘘ぼくは夢見る現実とこれは白かと問うぞ悲しき


片腕のピアニスト弾く旋律に白き光の溢るるごとく