ほしいぬ

書いたり、詠んだり。

短歌

空の記憶

青空に雲のAlbus陽のひかり今年も凧を揚げるよろこび 夕闇に空(うろ)の記憶のまたたきて在りし日の友ふいと行き交う 美容室魔法をかける若き手に鮮やかな墨呪文のごとく ぬばたまの髪波波と美容師の巧み渦巻きシスターとなる ひさしぶりにうさうらら様の短歌…

記憶の写真

秋空に記憶の写真貼ってゆくやさしき人の訃報にふれて 集団で訪れさわぐ目白たち金木犀とわたしがみてる 紙の本撫でてこっそり嗅いでみる栞の紐があればなお良し テトラ型紅茶のパックゆすりつつ戦なき世にするには如何に 白萩の零るる路をさまよへば君の面…

二月の空に

かきまぜてはかる指先仄暗く君の小さじの銀になりたし ふるふると枝を揺らして白梅の蜜吸うめじろ曇天に消ゆ あっけなく天に上りしたましひの楽しくあれと春野を歩む 卒業に向けてこどもはすうすうと睡りほほえみ繭ほどくらむ 虹立てば誰しも空を仰ぐよに祝…

好き掬い

好き掬い口ぱくぱくし生きている心に巣食う夢は捨てずに 古家のやもりてのひらそっと乗せ捕まるなよと枯れ葉に逃がす みどり色好きになったらそのまんま蛙になって跳ねてゆきたい 先の投稿でご紹介させていただいたうさうらら様の短歌ハッシュのネットプリン…

うたの夢かなう夢

うちのめす槌幾たびも来ようともふり仰ぐ顔降り注ぐ陽(よう) すきな色みどりなりける黒髪にさっと一刷けペンキぶち撒け 髪切らぬ君のくらさをかき分けて飛行機雲のはるばるとゆく 笑い声聞けば心にともしびがともる秘密を君は知らない またもご無沙汰してお…

破調

目(まなこ)撃つ戦火のニュース塞げども聴こゆ慟哭ただ日々を噛む 忘れびと洞(うろ)の瞳で虚を紡ぐ十分間のエアコンの音 天ぷらを揚げて真面目に話するカラカラパチパチ胸の爆ぜゆく 画面越し小さな命慈しむアプリ閉じれば消ゆる命を まやかしのまかり通りて…

零れゆく

零れゆく時間が結ぶ縁もあり11月の光の透過 待ちながら待たずにいよう焦らずに病と共に生きる家族と 散歩してひとりの時間空間にマスクなき世を祈り夢みつ 投票に向かうくらいは平常を取り戻したり闇の中より おまつりもけんかもうたもおしゃべりもかならず…

いろがわり

いろがわり紫陽花ならば綺麗だが政(まつりごと)では不要の悪ぞ 短冊を吊るさぬ事で地べた星みつめて歩くマスク蒸れつつ どうやって未来に残すこの地球なにを教える不義の世界で 踊らない自分の鼓動打たぬなら笛吹く鬼が脅し来るとも 向こう側生きているぞと…

いま生きている

つないでは渡す命を受け取りて君もわたしもいま生きている もぎとられ途中で宙に消えるとも生きた時間は確として在り ぼうけんの旅物語読むこころ時間を超えていまを忘れて あざやかな刺繍や色を身にまとい自由の旗を疫病に振る ひとりではないとそれだけ伝…

如月〜弥生

フェンス越し眼の端っこに花留まる屈めた腰をふと伸ばすとき ねえねえと振り向きざまに囚われた沈丁花の香絡みほどけず 夕暮れの遅くなるごと如月の鬼の隠れる闇ぞ小さく マスク越しアクリル越しに伝へんと声のボリューム右へ左へ 死ぬ病抱える人ぞ生きにけ…

凧揚げて

凧揚げて青の青さに吸い込まる幸福の鳥見えた気がして わたくしの命に管を突き刺して死にたい君に流せるならば かよいあう心のやりとり文字の声Instagram笑みこぼれつつ 2021年 あけましておめでとうございます。 昨年もお世話になりありがとうございました…

かんらん車

かんらん車こころを雲が吸いよせてゆっくり日々へ降りる支度す 秋薔薇の慎ましやかに仕立てられ棘も香りも憚らず咲け ハロウィーン小さき魔女の群れ集い憂鬱な煤を箒でさっさ 粉ふるいバターを溶かす娘の手頼もしくあれ柔らかであれ 君の名を呼ぼうとすれど…

よろいの夏

あどけないおっさんみたいなかき氷マスクとともに鎧を解こう 息苦し熱に炙られ戦中と戦後の夏に水を手向ける 友達にパンを送る日秋風を雨雷(あめいかづち)が一瞬見せた 病えて首相の代るこの国の疲れを拭うタオルはないか 連れてってくださいコロナが来る前…

名残の薔薇

開園を待っていたよに咲いていた名残の薔薇にわたしほころぶ 海眺むベンチはテープ縛されて怒りは真の敵にぞ向ける いたましき事件に怒り熱帯びて痛み傷まし悼みつつ生く コロナ禍は尊き命日々奪い悪を露わに見せつ流れる 良きことを砂金のごとく掬いあげ善…

とんとんと

とんとんと野菜を刻む台所いつものようにいつも通りに 三色の花が一つの木に咲いて桃紅白の個性うつくし 自らを励ます香りしのばせて御不浄掃除きゅっきゅと磨く 常の日の喜び今は叶わぬが傘のお家を子らと作りぬ 終息し心たいらに生きる日を迎えんために「…

順番に

順番に春はカーテン開けてゆくさよならを言う準備をせよと 眼裏(まなうら)に君の体温陽のひかりいつしか白く忘るるとても 先端は透明なまま青空を切り取る花の香のみ憶えて 未だ咲かぬ蕾の黄金(こがね)つやつやと弾む命をぐっと湛(たた)える 花の枝束ねるひ…

春を待つ

不死鳥のごとき希望は重たくてそれでも春の足音ぞする 春眠やまぶたにつもる薄雪を払いて蒼き夜明けをのぞむ 白い空雪降りなむと仰ぎ待つ子らの頭(こうべ)を風撫でわたる 温めたタオルを首にあてがいてこの子の痛み溶けよと願う ほがらかな笑顔はどんな刃よ…

12月の歌

重なった幸と不幸の花びらにやさしさの露白く光りて 来年の手帳選ぶ手ふと止まる予定予測をせずに生きたい ル・ポールの番組競う美女たちの輝くドレス涙の糸よ なによりも君の幸をぞ望みつつ降り積もる雪かき分けて生く 願いごとひとつツリーの星に告ぐ君の…

すこし明るい

うつうつとわくわくめぐる胸の中半月なれどすこし明るい たたきつけぎゅうぎゅうこねて休ませてふくらむパンをわたしも作ろ たくさんの本売りお盆ひとつ買う皿の重さがふと軽くなる 丁寧に塗られたお盆いちまいの朱色の木の葉生かされている 前回の記事では…

兎と林檎

塩水の中でも跳ねようさぎの仔泥濘(ぬかるみ)の道陽のふりそそぐ 昨夜はだいぶ雨が降りました。 被災地に降らないといい、と雨音を聞きながら願いました。復興を心よりお祈りしています。 家族の具合が悪く右往左往する毎日です。 おかげさまで少しずつ良く…

伝へんとする

↑写真はフリー素材です 咲くまえに香がくっきりと金色を鳴り響かせて伝へんとする 健やかな眠りと目覚めもういちど君に戻れよ笑顔とともに 泣きわめく夢と小鳥のしぬ夢と続けて見たの朝がまた来る 台風の前に起こりし悲しみに金木犀のそっと寄り添ふ りんご…

あかりびと

塞ぎつつ日々の荷物を背負うときあかりびと来てふと軽くなる 昨日はいろいろなことがありわたしは疲れ切ってスーパーで買い物をしていました。たぶん魂が抜けたような顔をしていたと思います。 そのとき、長い間会ってない知人が思いがけず声をかけてくれま…

ひとすじの

ひとすじの雲と光を捕まえた俯き顔をつと上げた時 幼な子と過ごす時間のやはらかさ忘れずに居る背を越されても 気を抜くと丸くなりたる背筋をシャツと一緒にアイロンかける 学生に一本きらり若白髪長き人生幸あれと笑む 海の上架けられた橋ハイウェイの車窓…

みどり染む

にわか雨傘をさしたりたたんだり君は構わずカメラを覗く こんなにも息づいてをり苔たちはみどり染む染む湿度の国で 生みにくく死ににくい地で生きていく慈しみもて人にも吾にも

五月五首

茫洋と五月の風の吹き渡るあなたのいない青花の野に 赤黒き昭和黄色の平成も終わり令和は無色透明 これからは笑いころげて生きてゆく残りの日々に灯をともすため 苗植えて重き如雨露の水溢れまわりの土も鮮やかになる 東京へ電車に揺られともだちと話し話し…

はんぱはんそで

何もかも半端なままで生きているそれでもちゃんと春はまた来る 半袖にはじめて通す3月の肩のあたりを抱いててほしい 出会いより別れの方が大事だと友の言葉を書き留め眺む むずかしいこの世のすべて解決はできずとも今日こそ試せ春が背を押す さようならは…

削除終了

海鳥は言葉も持たずすいすいと海に浮かびて自在に潜り 10年をダイアリーにて留めたが数分ほどで削除終了 はてなダイアリーのサポート、運営の皆様ありがとうございました。

うめももさくら

伸びた枝まるく摘まれてこんもりと庭の梅花の白おとなしく くもり空二月喜び悲しみにそっと寄り添う桃のももいろ 早咲きの桜見上げて亡き父にありがと云へばほの明き夕 はやいもので二月も最後の日となりました。 春はうれしくもありさみしくもあります。 皆…

冬の薄日の

薔薇のごと淡きピンクを抱き居り冬の薄日の地面のうえに 君の掌(て)は花がぎっしり埋まってるぽんぽんと咲く音がきこえる

花ひらく

見上げれば丸天井に花ひらく俯きがちな君の手をとり 自信とはしらずしらずについている君の予想をはるかに超えて 君を踏みつけたやつらを許さない怒りの熾火炙られるまま 立春やキバナスイセンロウバイも君の未来に明かりを灯す 生まれた日小さな梅が咲いて…