ほしいぬ

書いたり、詠んだり。

零れ(こぼれ)

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こぼれおち酷暑の夏は土の下冬の光にみどり広げて

 

人前で顔を覆って泣いた時黒き氷が零れ透明

 

見守りて灰汁とり友の野菜煮る心配事もすくって捨てる

 

あたたかき心会議に持ち寄ってみんなでまちの未来を望む

 

 

昨年晩秋に種蒔きしたパクチーが冬を越えて春に食卓を彩ってくれました。今年はどうしようかなと思いながらも多忙にかまけてほったらかしにしてしまいました。種は少し収穫したもののそのままとっておきました。

ところが、いつの間にかこぼれ落ちていた種が、ちゃんと芽吹き、すくすくと育ってくれたのです。おかげさまで今美味しく頂いてます。

なんというか、ラッキーとか得したとかそういうことだけではなくて、しみじみと嬉しくありがたい。一生懸命やってもうまくいかない事もあるのに、何もしなくてもプレゼントのような幸いもある。命の強さ。かけがえのなさ。何とも言えない気持ちになりました。

パクチー、ありがとう。

わたしももっと成長したい。

パクチーの瑞々しい緑に勇気をもらっています。

 

この一年を振り返ると、別れもあり、困難もありました。そのたびにあちこちぶつかり、たくさん泣いて、頑ななわたしを壊し、ぽろぽろと零し落としていったように思います。

いろんな方々の温かい思いやりがしみました。心から感謝しています。

締めくくりを笑顔で迎えることができるよう、あともうひといき、がんばりたいです。

 

いつも読んでくださる皆様ありがとうございます。時節柄どうぞご自愛くださいませ。

すこし早いですが、良い師走、佳き新年となりますようお祈り申し上げます。

 

 

 

 

 

 

りんご飴

りんご飴支えし細き割り箸をしかと握る子うれしい重さ

 

ひとりでは堅きうわべをなぞるのみ分かてば中の果実に届く

 

あの頃は買ってもらえず羨んでますます紅く飴輝けり

 

見かけより美味くはなしと侮れど甘き香りに胸はふくらむ

 

りんご飴買うよろこびは子の笑顔わたしのなかの夕闇照らす

 

 

 

 

ひやりと香る

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子を叱り強き言葉で打ちすえて零れた涙食卓を拭く

 

叱るとき同時に我も叱られる過ちをせぬ人などいない

 

ほとんどは自分の裡(うち)に理由(わけ)がある怒りを向ける前に自問す

 

とりかえしつかぬ言葉を放つなら我は自分の唇(くち)を縫いたい

 

思いあい愛(いと)しみあいて睦まじく在りたしされど我に棘あり

 

芋蒸して君の笑顔をまつあいだ金木犀はひやりと香る

 

 

うさぎミッション

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友からのLINE繋がり晴れやかに秋空仰ぐ雲もほほえむ

 

うさぎより臆病者を自負するがわたしはわたしの崖へ挑むよ

 

なにもかもつながっていてうろこ雲数えることはやめて踏み出す

 

 

 

 

 

 

秋別れ

朝顔の花の輪郭ひとまわりちいさくなりて秋ぞ来にけり

 

友発ちてさみしき秋のひんやりと今朝の気温を確かめて泣く

 

別れこそ大切だよと友は言い我頷きて手帳に記す

 

秋別れまた会う日まで大切に今日を包みてまぶたにしまう

 

 

プラズマ

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ひとつずつ思い呑みこみ高まればプラズマのごとほとばしりけり

 

伝えずに伝わる思いその温(ぬく)み若き日の君ふと懐かしむ

 

今はただそれぞれの道ぼつぼつと辿りて会おう夜来る前に

 

 

 

豪雨の後、長らくあっていない旧友と連絡が取れてほっとしました。ささやかな品を送ったら逆においしいものをたくさん頂いてしまいました。

いつかまた会える日がきたらたくさん話そうね。それまでお互い元気でいようね。