ほしいぬ

書いたり、詠んだり。

春を待つ

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不死鳥のごとき希望は重たくてそれでも春の足音ぞする

 

春眠やまぶたにつもる薄雪を払いて蒼き夜明けをのぞむ

 

白い空雪降りなむと仰ぎ待つ子らの頭(こうべ)を風撫でわたる

 

温めたタオルを首にあてがいてこの子の痛み溶けよと願う

 

ほがらかな笑顔はどんな刃より鬼を払うと蝋梅の云ふ

 

 

 

寒中お見舞い申し上げます。

佳い年となりますように。

 

 

 

 

12月の歌

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重なった幸と不幸の花びらにやさしさの露白く光りて

 

来年の手帳選ぶ手ふと止まる予定予測をせずに生きたい

 

ル・ポールの番組競う美女たちの輝くドレス涙の糸よ

 

なによりも君の幸をぞ望みつつ降り積もる雪かき分けて生く

 

願いごとひとつツリーの星に告ぐ君の世界よひろびろと存れ

 

 

 

一年の最後の月。

皆様にとって素晴らしい日々となりますように。ご健康とお幸せをお祈り申し上げます。

いつもありがとうございます。

 

 

 

 

すこし明るい

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うつうつとわくわくめぐる胸の中半月なれどすこし明るい

 

たたきつけぎゅうぎゅうこねて休ませてふくらむパンをわたしも作ろ

 

たくさんの本売りお盆ひとつ買う皿の重さがふと軽くなる

 

丁寧に塗られたお盆いちまいの朱色の木の葉生かされている

 

 

 

前回の記事ではご心配をおかけしすみませんでした。スター、労りのお優しいお言葉くださりありがとうございました。

 

 

 

 

 

兎と林檎

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塩水の中でも跳ねようさぎの仔泥濘(ぬかるみ)の道陽のふりそそぐ

 

 

 

 

昨夜はだいぶ雨が降りました。

被災地に降らないといい、と雨音を聞きながら願いました。復興を心よりお祈りしています。

 

家族の具合が悪く右往左往する毎日です。

おかげさまで少しずつ良くなっているとは思います。つらさや不安や焦りは誰よりも本人にあるのでわたしが落ち込んではいけないのに心塞ぐこともあります。

誰もが思うことですが、代わってやれないのがつらい。

 

その上いろんなことが起きて、一時はにっちもさっちもいかなくなりました。

わたしは基本的にはなんでも自分でやりおえたいと思って生きていますが、欠点も多く、決して有能な人間ではありません。

頭を下げて人の助けを借りました。

それで助かりました。

家族や友人にも助けられています。

ありがたいです。感謝しています。

 

ちいさなよろこび。

秋映りんごがお安く手に入りました。市場にではじめた頃は高価でした。今も高級りんごではと思います。

家族のお弁当用にうさぎにしてみました。

塩水に放ったものの、不器用なのでうさぎに見えない…頭をもっと小さくするべきでした。

それでもわたしにとって、これはうさぎ。

今はこんなに不出来だけど、練習して次はもうすこし格好よく仕上げましょう。

このお皿のように、わたしもすこし、いやたくさん、欠けているのです。

いっぱい助けてもらって、ひととひととのつながり、関係性の中で生きている。ひとりぼっちじゃない。

このはてなブログもその交流の大切な場所の一つです。ありがとう。

 

 

 

 

 

 

伝へんとする

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↑写真はフリー素材です

 

咲くまえに香がくっきりと金色を鳴り響かせて伝へんとする

 

健やかな眠りと目覚めもういちど君に戻れよ笑顔とともに

 

泣きわめく夢と小鳥のしぬ夢と続けて見たの朝がまた来る

 

台風の前に起こりし悲しみに金木犀のそっと寄り添ふ

 

りんご飴今年も買へど君は来ず秋の終わりの祭りさみしき

 

 

台風の被害に遭われた方お見舞い申し上げます。日常の回復と復興を心よりお祈りいたします。

 

 

 

 

 

 

 

あかりびと

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塞ぎつつ日々の荷物を背負うときあかりびと来てふと軽くなる

 

 

 

 

昨日はいろいろなことがありわたしは疲れ切ってスーパーで買い物をしていました。たぶん魂が抜けたような顔をしていたと思います。

 

そのとき、長い間会ってない知人が思いがけず声をかけてくれました。

その方の優しい言葉と、お互いの近況を手短に立ち話ししたことで、こころがかるくなり、よーし!またがんばろう!と力がわいてきました。

 

心に明かりをともしてくれる人、たしかにいるのです。その人の存在が、言葉や行いが、ぽうっとあたたかく周りを照らし、たすけてくれるのです。

謹んで、あかりびと、と呼ばせていただきたい。そんな言葉はないけれど。

あかりびとさん、ありがとう。

 

 

ひとすじの

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ひとすじの雲と光を捕まえた俯き顔をつと上げた時

 

幼な子と過ごす時間のやはらかさ忘れずに居る背を越されても

 

気を抜くと丸くなりたる背筋をシャツと一緒にアイロンかける

 

学生に一本きらり若白髪長き人生幸あれと笑む

 

海の上架けられた橋ハイウェイの車窓の虹は刻々と消ゆ

 

 

帰省しがてら、足を伸ばして明石海峡大橋を渡り、淡路島、徳島へ行きました。暑いしまずまず強行軍でしたが、とても楽しい旅でした。

道中、ふしぎなかたちの虹を何度も観ました。

忘れずにいたいです。