ほしいぬ

書いたり、詠んだり。

むすびめの

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八十路義母(はは)  帯結ぶ手の  巧力(うまぢから)

レースの立て矢  闇映える白


むすびめの 緑と白に 今日の日の

よろこびむすぶ かなしみむすぶ


盆踊り 集う人びと よろこびて

ほとけさまをも  ゆるがすリズム


踊らぬと ごねる娘の 下駄の石

取り除いても きげん直らず



川蜻蛉 瑠璃の体に 琥珀

せせらぎに聞く  亡き父のこえ


川遊び 子供らの声 われの声

重なり映す あの日の夏を


青栗の 棘に足指 ちぢこませ

泳いだ夏の 淵の深さよ


夜電車 乗り込んだ虻(あぶ)  おそろしと

車両を移る  旅人(たびと)の背高く



ひとつずつ  夏の行事に 済みと押す

こころにスタンプ  さみしいと押す



・盆踊りに行きました。例年一緒に行く義母は今年はお留守番が良いと残りました。元気な義母で、着付けの腕も帯を締める力も衰えてはいないのに、確実に歳をとってゆく。大切な時間をかみしめたい。


・虹を見た日は、(そらさがす、の記事と同日)親戚宅で川遊びをさせてもらいました。きれいな水で水量も多く冷たく、田舎の川で泳いだ子供の頃を思い出した。


青栗や馬アブのトラップをくぐり抜けながら泳ぐスリリングさ。川の石は滑りやすく、小魚が寄ってくるとくすぐったい。流れが速く深くなっているところはこわいから、学年が小さい子は抱っこしてあげた。

男の子たちと勇気ある女の子は、高い川縁から淵へ飛び込む肝試し。怖さをかき消すための奇声&歓声。

水が冷たいので、しばらく泳ぐとすぐ唇が青くなるのです。お互いの唇を見合って、熱い石の上で休憩して、また泳ぐ。

盆暮れ正月ゴールデンウィーク、両親の故郷である田舎へ連れて行かれるのは子供心におっくうでしたが、その日々はわたしの一部になっていて、日頃は忘れているのにきっちり蘇ってくる。ありがとう。