昨日はいちにち青い柿の実のことを考えていた。今朝目にして、蹴っ飛ばして、なんとか歌にしたいとおもった。
といっても机の前で呻吟していたわけではなく、洗濯したり送迎したり、ハッチポッチステーションみたりしながら、心の軒先にいつも青柿がぶらさがっていたような感じ。ぷらーんと。
子どもを風呂に入れる頃、やっと一首できた。
そして金井さん事件(すみません…)で観念してようやく開いたこの本。
やっぱりすごい。
三十一文字のなかに、なんと広く深く、充実した世界があるのだろう。
言葉の一つ一つが、生きていて、優れた建築物のような美しいバランスで歌をしっかりと形作っている。骨太で揺るぎなく、でも自由。とても人間らしい歌。
わたしは三十一文字じゃ足りないとか、うまくはまらない!とかどちらかといえば窮屈な思いをしていた。そのくせ、使う言葉は安易で、できる歌は隙間だらけのスカスカ。
短歌は短い歌だけれど、そこで表現できる世界は、とても広い。無限といってもいいくらい。
そして、時間を経ても色褪せないみずみずしさを持っている。
時を超えて伝わってくる短歌の力。魅力。何て素晴らしいんだろう。
少しずつ、何度も繰り返して、私はこの本を読むだろう。おばあさんになってもずっと。
築地正子さん、ありがとうございます。