幽霊の隣についと腰かけてまぼろしの川つまさきひたす
紙の本ページ繰る手に歳月のくちづけ君はどこにもいない
やさしさは埃のように降り積もる年に一度のお掃除しましょ
青すぎる空に一つの飛行機が音も立てずに斜め横切る
立ち止まるスマホ迷惑かけぬよう端オブ端に体を寄せる
強風の中に首だけ出してみる轟轟という耳をたのしむ
こんなだと知ったらあの子悲しむか大人になれどスキップをして
病院の待合室は空港の発着場よきみは飛行機
なにゆえにあの頃の君浮かびくる誰ともシェアのできぬ瞬間
消す前にふうっとしてねろうそくの明かりのようにわたしゆくから
皆さまどうぞよいお年を。