ほしいぬ

書いたり、詠んだり。

無題

はてなブロガーで敬愛する方の訃報を知り、拙いながら、詠みます。

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いまはもう白く跳ねるやかるがると病とびこえ自由なそらへ

 

あるときは思索の海へひともぐりうつくしき解ほらと見せ賜も

 

ことことと家族のために料理して熱のある日も風の吹く日も

 

耳長のむすこを描く小説の続きをいつも待っていました

 

羅針盤確かな智慧と良識を確(しか)と示せり静かな筆で

 

ぴょんさん(id:e_pyonpyon21)、ありがとうございました。

 

追記:すのうさん、ご質問のコメントを頂いておりますが、以前よりわたしのブログの不具合でコメントが書き込めないので、すのうさんの記事のブクマにてお返事させていただきました。何卒お許しください。

 

 

 

 

 

 

さまざまな松

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10代にローマの松を聴きしより音楽は家今日もただいま

イタリアは松の姿も異なりて傘のごとくに天が下映ゆ

木を焼きて絵を描く技法ナウシカに十四の我が今帰り来む

鉛筆を握りて描くワルキューレ黒灰白の濃淡の雲

病得た家族と歩む青空に大王松のゆったりと揺れ

 

うさうらら様の短歌ハッシュをきっかけに、久しぶりに詠むことができました。うれしいです。感謝。

急に寒くなりましたが皆様ご自愛下さいませ。

素敵な秋を満喫されますように。

いつもありがとうございます。

好きな小説と文体、感想文

今週のお題「好きな小説」

わたしはここ数年小説をあまり読んでいません。でも書いてみます。

どちらかといえば物語的、寓話的、非現実的な小説が好きです。

しんしんと降り積もる雪の中に閉じ込められるような、ぽんと置き去りにされるようなタイプのものが好みです。余韻大好きです。SF、翻訳物も好きです。

文体では、透明感がある、湿度が高い、叙情的な文体が好きです。翻訳物特有の文体も好きです。どういうものかと言われると困るんですが、やはり違う言語を翻訳しているので真摯で理知的なように思います。

歌うような、言葉遊びのような、詩のような、迷宮のような美しさのあるものが好きです。いっぽうで明晰な文体も好きです。

好きな作家を挙げます。

泉鏡花中勘助堀江敏幸須賀敦子カズオ・イシグロ塩野七生山田詠美小川洋子川上弘美島本理生舞城王太郎西尾維新乙一伊坂幸太郎ジョン・スタインベックアーネスト・ヘミングウェイテネシー・ウィリアムズトルーマン・カポーティ。リチャード・ブローディガン。スティーヴン・キングジョン・アーヴィングエミリー・ブロンテアガサ・クリスティ。エリナ・ファージョン。トルストイチェーホフダフネ・デュ・モーリアサン・テグジュペリ。アンリ・ボスコ。U.K.ル・グウィン。ジェイン・ヨーレン。など多数。

感想文は、2021年春にnoteに書いて無料公開しているものを再掲します。読み返すと当時も恥ずかしかったけど今はさらに恥ずかしいですね。わたしは書きたい熱がバーっと上がり掌が熱くなるような感覚が出ないと感想を書けないのですが冷静になるとまあまあ凹みます。いいかげんだいぶ慣れましたが。あほな自分に。よかったら読んでやってくださいませ。

※ネタバレあります。ご注意ください
わたしがその本を読んだのは2006年のことだ。好きな作家の久しぶりの新刊でわくわくしながらページをめくった。面白くて読み出すとやめられなかった。
それでいて、速く読むのは難しい作品だった。言葉一つ一つをじっくり味わい、細やかな描写、謎めいた物語の仕掛けに、注意深く神経を払わないと読み進められないのだ。
時々本を閉じて、わたしは物語の世界を味わい言葉を反芻した。
はやる心を抑え、胸をどきどきさせながら物語の森をゆっくりと手探りで進んでいった。
やがて少しずつ霧が晴れるように全貌が明らかになったとき、わたしは言葉を失い、ただ涙を流した。
わたしの人生で好きな小説ベスト3に入る作品となった。

最後のシーンがずっと忘れられない。架空の世界であるというのに、その風景はとても鮮明でいまも胸にやきついている。
わたしはそこで、風に耳をすます。
主人公のように。

いつかそこへ行く日のために、わたしはハンドルを握っている。
この世界のどこかにきっと、その場所はあると思う。

わたしが車を運転出来るようになったのはつい最近のことだ。具体的に言うと2021年から。

運転免許を取得したのは1992年で、比喩ではなくギリギリのラインでかろうじて取得した。自動車学校も転校している。仮免許取得の時点であまりの見込みのなさにやめようとしたのだ。
当時の交際相手で現在の夫に猛説得(人生初めての膝詰め談判)されてしぶしぶ転校し、なんとか卒業まで漕ぎつけた。夫に説得されなければ間違いなくやめていた。
取得のために人の倍以上の時間とお金を費やし、取得後も2〜3回しか乗らなかった。
ペーパードライバーを揶揄して、高い身分証明書という言葉があるがまさにそうである。

父に隣に乗ってもらった時の言葉が忘れられない。
父は自分で車を運転してわたしを山奥に連れて行き、ここなら他の車が来ないから好きなだけ練習すると良い、と言って、しばらく同乗した。
それから車を停止させて、静かに言った。
「…おまえ、本当に免許取れたのか?」と。
さらに父は続けた。
「人間誰しも得手不得手がある。お前は乗らない方がいいと思う。」
そのくらいわたしの運転はひどかった。

せっかく免許を取得したのに、わたしは運転を諦めた。そして18年の月日が流れた。
その間結婚して子供を授かり、義父と実父を亡くした。自分で車が運転できたらなぁと思うことは多々あった。それでもわたしのような下手がハンドルを握ったら事故を起こすだけだ、という強い恐怖心から運転をすることはなかった。夫が運転してくれることを幸いに、逃げ続けていた。運転できる人を心から尊敬し、乗せてくれる人に感謝しながら、自分にはできないこととして蓋をし続けてきた。

近年、体調を崩した家族を送迎するためやその他の用事で車を使うことが増えてきた。
夫もだんだん歳を取り、運転できるようになってほしいと要請を受けた。
「今運転できるようにならないとあなたは一生できないと思うよ」
夫の言葉にわたしはやっと重い腰をあげた。

そもそもわたしが免許を取れたのは夫のおかげだし、免許を持っているのに運転できないなんて恥ずかしく無駄なことだ。わたしの場合はただの甘えでしかない。

運転できる人から見たら、わたしの怯えは大げさでバカみたいだと思う。
もともと、できることはずんずんやって、できないことはしないで生きてきた。能力に偏りがありできないものはできない。それは事実だったがそういうことにしておいた方が楽だったからでもある。そろそろ潮時だ。楽をさせてもらったツケを払わないといけない。
人にしんどい思いをさせて、出来ない自分でいるのは嫌だ。
自分で運転できるようになる。それはひそかにずっと憧れてきたことだった。
怖くて目を逸らしていたけれど。

ペーパードライバー教室に3ヶ月通い、夫に隣に乗ってもらってわたしは運転できるようになった。一人で運転した時の感動は言葉で表せない。
父さん、わたし、運転できるようになったよ。
7年前に亡くなった父に呟いた。

ハンドルを握る時は緊張するし、運転が終わるとどっと疲れる。それでも家族を送迎したり、買い物に車で行けるようになったことを誇らしく思う。ささやかなことだけれど。
勇気を出してよかった。諦めなくてよかった。

そして、ふたたび思う。
ひとりで車を走らせ、小説で読んだあの風景が見たいと。そこへ行きたいと。

主人公は小説の中で、どんなときも自分で考え、自分の人生を生きていた。勇気を持ち、自分の選択に従って。

主人公は、すれ違いとふれあいを経て、今はもういない、幼馴染であり、かけがえのない恋人であった彼を偲ぶ。
彼の意思に従い、彼を看取ることができなかった。車を運転しながら、時々、その場所に彼がいるのではないかと、思う。
彼が生前言っていた、僕がいなくなった後も、僕はそこにいるよと言った、風の吹き渡るその場所に。いまもいるのではないかと。

ハンドルを握る時、わたしは全責任を負い、同時に自由である。
わたしはじぶんで、どこにでも、どこまでも、いける。
大切な人を失い、自分の体や脳が不自由になって運転できなくなる前に、わたしはそこへ行きたいと願う。

わたしが運転できるようになるには、夫をはじめ沢山の人に助けられ背中を押してもらったが、原動力としてはあの小説を読んだことが大きい。読んで心が揺さぶられ、ともった灯りはずっと消えずにいる。

ひとりのおばさんが運転できるようになったからといってどうだというのだ?
それでもあの一冊はわたしの人生を変えてくれた。

主人公のキャシーに、ありがとうと言いたい。
素晴らしい作品を書いてくれた作者、カズオ・イシグロにも。
最後になってしまったが、小説のタイトルを記す。
「わたしを離さないで」
これからも何度も、わたしは読み返すことだろう。

立秋

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冷たさとあまさあの日のひとびとに届けられずにただ黙祷す

 

闘病も5年目となりはらはらと涙する子にことば噛みしむ

 

夕闇がくろぐろとして取り囲むそのスピードよ秋は来にけり

 

降るのかと思えば降らずひたすらに汗のながれてしょんぼり歩く

 

名も知らぬ鳥長々と複雑に鳴きつる声のうつくしきかな

 

生きている人々のためNOという長崎の声わたしは支持す

 

 

皆様どうぞご自愛くださいませ。

 

空の記憶

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青空に雲のAlbus陽のひかり今年も凧を揚げるよろこび

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夕闇に空(うろ)の記憶のまたたきて在りし日の友ふいと行き交う

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美容室魔法をかける若き手に鮮やかな墨呪文のごとく

ぬばたまの髪波波と美容師の巧み渦巻きシスターとなる

 

ひさしぶりにうさうらら様の短歌ハッシュに参加させていただきました。素敵なイラストと短歌のネットプリントです。よろしければぜひ!お願いいたします。(わたしの短歌は配信終了後次回のブログに載せさせていただきます。)

#短歌ハッシュ 2月号
セブンイレブン 25252603 カラーA4(B4変更可) 60円 2月19日まで

https://x.com/usaurara/status/1756850805590958251?s=46&t=kwCEwRvi5dqy9kxecO6ZaQ

二月は逃げる。季節の変わり目、慌ただしい日々をお過ごしの方も多いのではと思います。

わたしはロウバイ、梅、すいせんなどの花の香りにはなをぴくぴく、🐇花粉にくしゃみ💦なこの頃です。

今頃で申し訳ないですが、震災に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。

戦禍、悲報、腹ただしいニュースもよく見聞し胸詰まります。それでも日々のよろこびを忘れずにいたいです。

皆様どうぞお大事に。🍀

 

記憶の写真

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秋空に記憶の写真貼ってゆくやさしき人の訃報にふれて

集団で訪れさわぐ目白たち金木犀とわたしがみてる

紙の本撫でてこっそり嗅いでみる栞の紐があればなお良し

テトラ型紅茶のパックゆすりつつ戦なき世にするには如何に

白萩の零るる路をさまよへば君の面影月光に満つ

最後の歌はうさうらら様の素敵な短歌ハッシュに参加させていただいております。よろしければぜひネットプリントお願い申し上げます。

セブンイレブン 71779395 A4(B4変更可) カラー 60円 17日まで

https://x.com/usaurara/status/1711732490157932722?s=46&t=kwCEwRvi5dqy9kxecO6ZaQ

寒暖の差激しいこの頃、皆様どうぞお大事に。

いつもありがとうございます。

二月の空に

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かきまぜてはかる指先仄暗く君の小さじの銀になりたし

ふるふると枝を揺らして白梅の蜜吸うめじろ曇天に消ゆ

あっけなく天に上りしたましひの楽しくあれと春野を歩む

卒業に向けてこどもはすうすうと睡りほほえみ繭ほどくらむ

虹立てば誰しも空を仰ぐよに祝う気持ちに境界はなし

 

一首目はうさうらら様の短歌ハッシュに参加させていただいた歌です。今回家庭の事情で配付期間中にブログでご案内ができず残念に思います。今回も素晴らしい作品でした。うささんの歌もほかの皆様の歌もとてもよかったです。宝物です。うささんありがとうございました。(内容保護のため写真は加工してあります。)

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季節の変わり目、皆様どうぞお大事になさってください。いつもありがとうございます。